2019年05月03日

マンションの建替・再建

 阪神淡路大震災で分譲マンションの建替が問題になり、法整備がされたとは聞いていたが、全壊、つまりマンションが滅失した場合に対応する法律が制定されていたことを、迂闊にも最近知った。
 滅失という用語は借地借家法で見たことはあるが、分譲マンションのような区分所有権の対象となっている建物に関しては、民法の特別法である建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)で規律されているところ、この法律には滅失という事態に対応する条項がなく、マンションが全壊して滅失と評価されると、敷地所有権だけが残り、区分所有法ではなく、民法の原則に戻る、ということである。(*1)
 すると、民法251条では「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」という条文もあって、全員同意がなければ再建することもできない、ということになる。これに対して、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)が制定され、5分の4で再建決議ができる、などの対応が可能となった。
 この法律の2条では、「・・・政令の施行の日から起算して三年が経過する日までの間は、・・・」とあり、期限が設けられている。政令はこれまで3つ制定されている。阪神・淡路大震災、東日本大震災(原子力発電所の事故による災害を含む)、平成二十八年熊本地震による災害である。
 これとは別に、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替法)があるので、素人にはややこしい。被災マンション法は全19条、これに対してマンション建替法は全179条もあり、区分所有法の72条よりもかなり多い。国交省のパンフレット(*2、3)を見たが、これだけでは心もとない感じがする。パンフレットが載っている「マンション建替え等・改修について」というページを見ると、今度は量の多さに足がすくむようであった。
 分譲マンションは権利者が多数で、関係法令も多い。居住している方は、これらの法令を一通りは知っておいた方が良いし、無論分かりやすい解説書があれば是非とも読んだ方が良い、と思った次第である。

   (*1)http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column001.htm
   (*2)http://www.mlit.go.jp/common/001090270.pdf
   (*3)http://www.mlit.go.jp/common/001090271.pdf
   (*4)http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000050.html


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Posted by 青山拓水 at 18:52│Comments(0)FP
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