2018年09月23日

介護保険料

 先輩から、介護保険料は65歳から会社負担がなくなる、つまり高くなる、という話を聞いた。気になるので、調べてみた。
 制度の基本は介護保険法、ざっと見てみた。
 被保険者は2通り、一号が「六十五歳以上の者」、二号が「四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者」となっている(9条)。
 11条に、「第二号被保険者は、医療保険加入者でなくなった日から、その資格を喪失する」とある。国内にいる限りは国民皆保険だが、海外に移住・長期滞在で健保から外れ住民登録もない場合が一例になろうか。
 一号の保険料は、市町村が「介護保険事業に要する費用・・・に充てるため、保険料を徴収しなければならない」となっている(129条)。一号は65歳以上なので原則年金受給者、保険料は年金から天引きされる(特別徴収、年金支払者に徴収と納付義務がある)、または市町村が徴収する普通徴収がある(131条)。国民年金は「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは」支給されない(国年法26条)。かつてはこれが25年だったが、「これまでは、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。」ということである(年金機構HP)。10年ない人は国年(老齢基礎年金)なし、厚年(老齢厚生年金)もなし(厚年法42条2項「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年以上であること」)、年金なくば天引きもなく、普通徴収となる。
 二号の保険料徴収の規定がなかなか見つからず、健康保険法の保険料労使折半の規定を探していたら、健保法156条に「・・・介護保険第二号被保険者・・・ 一般保険料額・・・と介護保険料額・・・との合算額」となっていて、二号の介護保険料は健康保険料と一緒に徴収されることなっている。保険料は育児休業や産前産後休業の場合は徴収されないという規定もある(健保法159、159の3)。健保法の労使折半の規定は161条にあった。「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する・・・事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う・・・」とあり、労使折半とともに、事業主に徴収と納付の義務があることになっている。介護保険の特別徴収と同様、健保の保険料も天引きである(167条「事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料・・・を報酬から控除することができる」(1項)「事業主は・・・保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない」(3項))。3項は給与明細作成交付義務を事業主に課す根拠規定の一つとなっている(確か厚年法や税法にも同じような規定があった)。
 二号の保険料にしか介護保険料は加算されない(健保法156条1項本文「被保険者に関する保険料額は、各月につき、次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。」2号「介護保険第二号被保険者である被保険者以外の被保険者 一般保険料額」)。つまり、65歳になって一号になると介護保険料は健康保険料と一緒に引かれなくなり、原則年金から天引(労使折半のように年金支払者が半分持ってくれることはない)。
 以上要するに、二号のうちは介護保険料は労使折半、65歳になって一号になると勤めていても労使折半はなくなり、原則年金から引かれるのである。
 協会けんぽのHPに都道府県別の「平成30年度保険料額表(平成30年4月分から)」が載っている。愛知県の場合、介護保険の二号は11.47%、二号でなければ9.9%、この差1.57%が二号の介護保険料率であろう。ちなみに厚年の保険料率は18.3%である。介護も健保も厚年も末尾に「保険」がつく。保険料はリスクに見合って決まる、とすれば、要介護になるリスク<病気や怪我をするリスク<65歳になるリスク、ということになる。はて、65歳になるのをリスクというものか、めでたいことではないか、長寿という言葉もあるぞ、だが、65歳になると継続雇用も終わり、収入がガクッと減るのが普通、経済面では65歳になるのはリスクなのだ。公的年金だけでは足りないぞ。生命保険文化センターのHPの情報がよく引用されるが、見ると、「世帯主が60歳以上の無職世帯では毎月約4万~7万円を取り崩す」となっている。公的年金が約17万8千円、ここからさっき見た介護保険料などの社会保険料や税金が引かれるのに、出費は約24万8千円となっているのである。コツコツと働いて保険料を払い(会社が半分払っていることを忘れないように)、もらえる年金がこれだけ、足りないなら、自分年金(iDeCoというのを最近よく見る)で補うか、定期預金がこんな利率では、ということならNISAなどで資産形成を図るか、色々選択肢はありそうだが、横道枝道に入り込んでいるので、元に戻る。
 介護保険は65歳から自分で払うことが確認できた。では、私の住んでいる豊川市の保険料はどうなっているのだろうか。
 豊川市の国民健康保険料のうち、介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が払う「介護分」は、所得割1.8%、均等割10,200円(一人当たり)、平等割5,300円(1世帯当たり)となっている。均等割と平等割は、明記はないが年額と思われる。なお、要件に合えば、保険料は年金から天引きされる。
 東三河の介護保険事業は東三河広域連合が行っている。広域連合のHPに「東三河広域連合市町村別介護保険料一覧」というのがあり、所得区分が12に分かれている。これが一号の保険料であろう。豊川市の欄をみると、27,977円から124,344円(所得1千万円以上)までとなっている。これも明記はないが年額と思われる。私の場合、どの区分になるかすぐには分からないが、多分10万円前後になるのではなかろうか。すると、月1万円前後である。実際に通知をもらってみないと分からないが、生活設計では、65歳以降は介護保険料月額1万円としておけば、当たらずとも遠からず、という感じである。
 人生100年時代、精文館で見たが、「LIFE SHIFT」という本が20何万部、その隣に漫画で読むLIFE SHIFTというような題の本が置いてあり、30万部とあった。長〜いセカンドライフ、第二、第三の人生、お金がなくては手も足も出ない。ライムライトの有名なセリフに、「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ(All it needs is courage, imagination and a little dough)」とあるように、Bigマネーは要らないが、ノーマネーではどうにもならない。分相応の、身の丈にあった小金は必要だ。生保文化センターの情報に見るように、老後資金は不足するのが平均像、若いうちからコツコツ貯めておけば良かった。コツコツ貯めるコツは、と聞かれて、コツは二つ、コツコツ。冗談を言っている場合ではないのだが、今後の生活設計、未だ手付かずである。  


Posted by 青山拓水 at 19:38Comments(0)介護保険

2018年09月11日

iDeCoの手数料を整理

 iDeCoを始める場合は、まず第一に手数料を計算に入れねばならない。iDeCoは税の優遇措置を売り物にする年金資産形成手法だが、手数料は資産を減らす固定費である。元本変動型を選べば、これに、変動費が加わる。運用利回りがマイナスになった場合である
 iDeCoの手数料は加入者が負担する。企業型は企業負担(ただし、規約による)。
 加入時に2,777円、掛金拠出時に月額で収納手数料103円・事務委託手数料64円・口座管理手数料0円〜450円程度で合計167円〜617円程度、年金受給時に432円、この他にも金融機関変更時の移管手数料、掛金の還付がある場合の還付事務手数料、脱退時の送金手数料がある。
 掛金拠出時の手数料は掛金から控除される。年額では、口座管理手数料が0円でも、167×12=2,004円は負担することになる。
 投資信託を選んだ場合は、信託報酬という投資信託固有の手数料も加算される。
 結構かかるものだ。だが、手数料がこのように公にされているということは、評価すべきである。例えば個人年金保険で仕組みが複雑なものは、手数料がかさむのにそれが分かりにくい、という指摘をよく見る。
 さて、iDeCoで定期預金を選択すれば、金利がほとんど見込めない現状では、ほぼ手数料分が赤字となる。元本確保型でない商品を選ぶ場合は、運用利回りがマイナスになることもあるので、手数料を計算に入れれば赤字に赤字を重ねることになる。
 税金の優遇措置により掛金が所得控除になり還付された分を利息と考え、大切に扱うべきである。  


Posted by 青山拓水 at 17:29Comments(0)FP