2023年04月22日

適応障害と労災一考

 この頃、適応障害という語を聞くことが増えてきたような気がする。
  日経4/22のS7面にも五月病と適応障害の解説記事。
 適応障害とは、ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E9%9A%9C%E5%AE%B3)によると、「適応障害(てきおうしょうがい、英: adjustment disorder:AD)とは、はっきりと確認できるストレス因子により、著しい苦痛や機能の障害が生じており、そのストレス因子が除去されれば症状が消失する特徴を持つ精神障害」となっているが、門外漢には難しい。
 トヨタ・パワーハラスメント事件では労働基準監督署の認定は適応障害だった。たまたま担当した弁護士の講演を聞く機会があったが、相当程度精神疾患の専門知識がないと対応できない事件だったと思った。

 厚労省の「精神障害の労災認定」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf)の2ページには、精神障害の労災認定の3要件が示され、また、(1)の 「認定基準の対象となる精神障害」については一覧表が掲載されており、13ページには、「適応障害」を発病したとして認定された事例が載っている。

 3要件は次のとおりである。
 (1)認定基準の対象となる精神障害を発病していること
 (2)認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
 (3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

 精神疾患については門外漢であり、適応障害はこの一覧表では明記されていないのが気にはなるが、この一覧表のF4(神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害)に対する診断名として適応障害が挙げられているサイトもあり(https://atomfirm.com/jiko/39674)(*1)、13ページの事例の他にも、トヨタ・パワーハラスメント事件でも労働基準監督署の認定は適応障害だったことから、ともあれ、適応障害と診断されれば労災の対象となる病名、といえるであろうことは分かる。
 なお、(*1)には、「医師によってどんな診断名が出されたのかが労災認定に大きく影響・・・」とある。要注意である。

 (2)について、昨今は人手不足の職場が増えていると聞く。そこで、例えば人員が削減されて業務が特定の個人に集中したものの、事情で時間外労働がほとんどできなかった、という場合を想定してみる。
 長時間労働は数字で測定できうるので分かりやすいが、業務集中はあったものの時間外労働がほとんどなかった、という場合、「精神障害の労災認定」の「業務による心理的負荷評価表」で探すと、「特別な出来事以外」の表の15、23、26、30〜32(人員減に伴う職務遂行困難への対応について上司等とのトラブルがあった場合が考えられる)辺りかと思われるが、「心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と判断する具体例」の欄をみると、いずれも原則として「弱」か「中」である。
 やはり、時間外労働の有無が大きい。「精神障害の労災認定」の13ページの事例でも、「・・・さらに、この出来事後に恒常的な長時間労働も認められることから、総合評価は「強」と判断・・・」となっている。
 時間外労働がほとんどできなかったという設定にすると、ハードルが高くなる。

 労災認定が受けられなかった場合は、審査請求という道もあるが、健康保険の傷病手当金を請求するという選択肢もある。
 万一過剰業務で何らかの疾病を被るようなことがあると、一人だと右往左往することも考えられる。労災や傷病手当金は労働保険・社会保険の分野なので、例えば最寄りの社労士会などに聞いてみるのも、歩を進めるに有意である。

  


Posted by 青山拓水 at 22:07Comments(0)労働基準

2023年04月21日

サイト短見

ーーー東京証券取引所「人生やりなおし体験」(*1)ーーー

 人生やり直し、一体そんなことができるのか、今更ここまできてやり直そうなどという気持ちも薄れているのだが。
 生命保険に入り過ぎて、保険料を個人年金の元資にしていればどんなに良かったか、くらいは浮かんでくる。返す返すも残念な過去である。
 「あなたは100万円を元金に、人生をやりなおすことができます。」・・・選んだ年に上場した会社を10社以内選んで、現在の株価を出してくれる、というのだ。
 こんなことか。案外単純で簡単な話だ。
 試しにやってみて、びっくりした。適当に選んだ10銘柄、配当金込みで約590万円、配当金なしで約490万円にもなっていた。
 終価係数のサイト(例えば*2)でやってみると、年利は配当金込みで約8.4%、配当金なしで約7.5%ほどになる。
 適当に選んだのだが、こんなに増えるとは。
 やはり、人生、やり直してみたい。

*1 https://jpx-game.com/simulation
*2 https://keisan.casio.jp/exec/system/14288998856258  


Posted by 青山拓水 at 21:01Comments(0)FP