2018年02月23日

ル・アーブルの靴みがき

 こんなハッピーエンドがあろうものか。
 山上の垂訓に忠実なのは羊飼いと靴磨きということだが。黒装束の刑事と神父の衣装は似ていなくもない。若い神父の靴を磨いているとき、神父達は聖書について議論をやっていた。磨きながら教えを学んでいた。劇的な結末は、信仰の証、神の恩寵ということか。
 地図で見ると ル・アーブルはセーヌ川河口部にある。イギリス海峡に面し、ノルマンディー地域にあり、ふと、カレーという地名に気がついた。主人公が訪ねたところだ。ウィキペディアでカレーを見ると、「・・・2015年初頭に、市有地18 haに難民キャンプが整備された。当初、数百人だった難民の数は、イギリスへの密入国を目指す中東やアフリカからの難民や移民らが集まった・・・」とあった。
 カレーと言えば、遠い昔高校の世界史で習った名前だったと記憶がうっすら出てきて、色々調べていると、カノッサの屈辱だのアナーニ事件だの憤死だの悶死だの、当時習ったことがいろいろ出てきた。教わったM先生はW大でルソーを専攻したと聞いた。世界史は覚えることが多すぎて、何しろ世界中の歴史だから、際限がない、しかし、地理や政経をとるわけにもいかず、苦戦を覚悟の科目だった。
 こんなことも思い出しながら、あれこれ調べても、どうもおぼろな記憶とぴったりこない。ようやく、カレー市民の苦難について読んでいたら、「カレーの市民」というロダンの彫刻のことが出てきた。記憶はこれだった。世界史と言うより美術の副教材で見たものかも知れなかったが、おぼろな記憶は、この像の写真だった。ようやく腑に落ちた。
 あれこれネットを逍遙して、百年戦争やバラ戦争とか、はては第二次大戦、その後も局地的にあったし、欧州の歴史は戦争の歴史だった、という印象を改めて得た。国境を接しているから、そうなるのだろう。日本の戦国時代はそのミニ版か。戦争と言えば、国際法の嚆矢を放ったとされる「戦争と平和の法」は、30年戦争が背景にあると聞く。しかし、 hitopediaには、正戦論とか、戦争を自然法に基づく正当な戦争と、自然法に反する不当な戦争に区別とか、書いてあったが、戦争にそんな区別があるものか、とは思う。
 映画の字幕をメモするわけにもいかず、後で調べて分かったのだが、気になったお酒の名は、「ドメーヌ クルビサック 2005年」と「 カルヴァドス」だった。あの、英雄モネ警視に、もう一度カルヴァドスを贈ろうではないか。
 フランス映画というと、色彩の良さが思い浮かぶが、そんな目で映画の一コマ一コマをみるのも、楽しかった。味わいのある色調で描かれている、というより、もともとそういう風情の町、いや、国なのだろう。ル・アーブルの港の光景は、一幅の絵画を見るようでことに美しい。
 映画館のHPによると、2012年4月28日公開、 制作国はフィンランド/フランス/ドイツ、 ユーロスペース配給とある。渋谷の、ミニシアターの巨頭は、配給もやっているのか。
 今年は、鎌倉物語や星めぐりの町など、邦画でいいのに出会っているが、地元イオンシネマ、なにしろ歩いて行ける距離にある、ここで見る名画もいいものだ。
(2018.2.17 イオンシネマ豊川 18:50)  


Posted by 青山拓水 at 18:28Comments(0)ひねもす