2019年02月03日
労働条件の明示
スーパーなどでパート・アルバイト募集の貼紙を見かけることがある。時給、勤務時間・曜日などが書かれている。仕事の内容や場所は店の名前を見れば想像がつく。ときには、聞いていたことと実際が違っていた、という話も聞かれる。
労働者を募集するとき、法令では、給料や労働時間などの労働条件を前もってどのように示すよう定められているのか、整理してみた。
1−1 募集の段階では、書面(条件はあるがメール等も可能)により、次の事項を示すこととされている(職業安定法5条の3、同法施行規則4条の2))。
(1)仕事の内容
(2)契約期間に関すること
(3)仕事をする場所
(4)始業・終業時刻、残業の有無、休憩・休日
(5)賃金の額に関すること
(6)各種社会保険(健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険)
1−2 なお、職業安定法65条を見ると、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」「虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つた者」に該当すると、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」という規定がある(同条8、9号)。
2−1 次に、実際に働き始める際、つまり労働契約(雇用契約ともいう)締結時の条件明示については、労働基準法15条で、次のようになっている。難しい言葉はあまり使われていないので、そのまま引用する
(1)使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。(15条1項)
ここで「厚生労働省令で定める事項」、「厚生労働省令で定める方法」とあるが、次の2−2で触れる。
(2)前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(15条2項)
(3)前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。(15条3項)
2項では、示された条件が実際と違っていれば、すぐに辞めても良いこと、3項では、この場合に就職のために引っ越した人が2週間以内に帰郷するなら交通費を請求できる、と定められている。
2−2 労基法15条1項を受けて、労働基準法施行規則5条では、使用者は次の事項を書面で示さねばならないとしている。
(1)契約期間に関すること
(2)有期労働契約(契約に期間の定めがあるもの)の場合は更新する場合の基準
(3)仕事につく場所・仕事の内容
(4)始業・終業時刻、残業の有無、休憩・休日、休暇、交代勤務がある場合はその方法に関すること
(5)賃金(締日や支払日などを含む)
(6)退職に関すること
(7)以上6項目は必ず明示すべき事項となっている。なお、これら以外の事項で賞与の定めなど一定のものがある場合は、もちろん示さなければならない。
2−3 職業安定法と労働基準法では、似通っているが相違点も多い。例えば、賃金については、職業安定法(同法施行規則)では「賃金の額に関する事項」、労働基準法(同法施行規則)では「賃金(退職手当…(略)…を除く。…(略)…)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」となっていて、労基法の方が細かい。
3 パートタイムの場合は、労基法による事項に加えて、次の事項も明示することになっている。明示の方法は書面(条件はあるがファックスやメールでも可能)となっている。
(1)昇給の有無
(2)退職手当の有無
(3)賞与の有無
(4)短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
4 建設労働者の場合は、「事業主は、建設労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該建設労働者に対して、当該事業主の氏名又は名称、その雇入れに係る事業所の名称及び所在地、雇用期間並びに従事すべき業務の内容を明らかにした文書を交付しなければならない」(建設労働者の雇用の改善等に関する法律7条)とされている。このうち「雇用期間」「従事すべき業務の内容」は職業安定法・労働基準法と共通している。
5 派遣労働者の場合は、派遣就業の諸条件(仕事の内容、派遣先の名称・所在地、指揮命令者、派遣期間、就業期間・就業日・就業時間・休憩時間、安全衛生事項など)を書面(条件はあるがファックスやメールでも可能)で示すこととされている(労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律、違反には罰則あり)。
6 以上のように、労働条件の明示については、募集の段階と実際に仕事につく段階で、法律により示さなければならない事項がきちんと定められている。これが守られていない場合は、早めに最寄りの労働基準監督署などに相談した方が良いのはもちろんである。
労働者を募集するとき、法令では、給料や労働時間などの労働条件を前もってどのように示すよう定められているのか、整理してみた。
1−1 募集の段階では、書面(条件はあるがメール等も可能)により、次の事項を示すこととされている(職業安定法5条の3、同法施行規則4条の2))。
(1)仕事の内容
(2)契約期間に関すること
(3)仕事をする場所
(4)始業・終業時刻、残業の有無、休憩・休日
(5)賃金の額に関すること
(6)各種社会保険(健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険)
1−2 なお、職業安定法65条を見ると、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」「虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つた者」に該当すると、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」という規定がある(同条8、9号)。
2−1 次に、実際に働き始める際、つまり労働契約(雇用契約ともいう)締結時の条件明示については、労働基準法15条で、次のようになっている。難しい言葉はあまり使われていないので、そのまま引用する
(1)使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。(15条1項)
ここで「厚生労働省令で定める事項」、「厚生労働省令で定める方法」とあるが、次の2−2で触れる。
(2)前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(15条2項)
(3)前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。(15条3項)
2項では、示された条件が実際と違っていれば、すぐに辞めても良いこと、3項では、この場合に就職のために引っ越した人が2週間以内に帰郷するなら交通費を請求できる、と定められている。
2−2 労基法15条1項を受けて、労働基準法施行規則5条では、使用者は次の事項を書面で示さねばならないとしている。
(1)契約期間に関すること
(2)有期労働契約(契約に期間の定めがあるもの)の場合は更新する場合の基準
(3)仕事につく場所・仕事の内容
(4)始業・終業時刻、残業の有無、休憩・休日、休暇、交代勤務がある場合はその方法に関すること
(5)賃金(締日や支払日などを含む)
(6)退職に関すること
(7)以上6項目は必ず明示すべき事項となっている。なお、これら以外の事項で賞与の定めなど一定のものがある場合は、もちろん示さなければならない。
2−3 職業安定法と労働基準法では、似通っているが相違点も多い。例えば、賃金については、職業安定法(同法施行規則)では「賃金の額に関する事項」、労働基準法(同法施行規則)では「賃金(退職手当…(略)…を除く。…(略)…)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」となっていて、労基法の方が細かい。
3 パートタイムの場合は、労基法による事項に加えて、次の事項も明示することになっている。明示の方法は書面(条件はあるがファックスやメールでも可能)となっている。
(1)昇給の有無
(2)退職手当の有無
(3)賞与の有無
(4)短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
4 建設労働者の場合は、「事業主は、建設労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該建設労働者に対して、当該事業主の氏名又は名称、その雇入れに係る事業所の名称及び所在地、雇用期間並びに従事すべき業務の内容を明らかにした文書を交付しなければならない」(建設労働者の雇用の改善等に関する法律7条)とされている。このうち「雇用期間」「従事すべき業務の内容」は職業安定法・労働基準法と共通している。
5 派遣労働者の場合は、派遣就業の諸条件(仕事の内容、派遣先の名称・所在地、指揮命令者、派遣期間、就業期間・就業日・就業時間・休憩時間、安全衛生事項など)を書面(条件はあるがファックスやメールでも可能)で示すこととされている(労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律、違反には罰則あり)。
6 以上のように、労働条件の明示については、募集の段階と実際に仕事につく段階で、法律により示さなければならない事項がきちんと定められている。これが守られていない場合は、早めに最寄りの労働基準監督署などに相談した方が良いのはもちろんである。
Posted by 青山拓水 at 18:50│Comments(0)
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