2024年12月31日
蓑虫

枕草子に蓑虫について書かれたところがある。それについて寺田寅彦が「小さな出来事」という作品で触れている、と、ある本に書かれていた。興味が湧いて、「小さな出来事」を検索すると、なんと青空文庫に収録されていた。図書館に行かなくても良くなった。楽になった、と同時に、寺田寅彦も遠い昔の人になっていたのか、と思った。
読んでみると、5編からなる小品で、蓑虫は三番目にあった。そういえば子供の頃はよく庭で蓑虫を見かけたが、この頃ではさっぱり見ない。
この頃の個人の家は借家が多かったと聞くが、寅彦の家は静かな住宅街の中規模の家であったようだ。子供は5人。今ではかなりの数だが、当時は普通だったのかもしれない。
蓑虫の次は星についての一節。この頃の東京の夜は星が結構見られたらしい。夕涼みが始まるのは夏の始まり。見上げれば星空。5番目は海水浴、そして銀座。銀座までは歩いて。
末尾に(大正九年十一月『中央公論』)とあったので、書かれたのは大正時代かと思われる。東京も今ほど過密ではなかった。もっとも当時の人にとってはそれなりに過密ではあったろう。
作品は全体に落ち着いた調子。安定感がある。漱石の「三四郎」は同じように東京が舞台でも青春時代の不安定さが出ている。
さて、先日はお札を納めに妙厳寺に出かけた。豊川稲荷も元気そうだ。
Posted by 青山拓水 at 11:06│Comments(0)
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