2024年08月19日
休職期間満了時に復職不能の場合
こういう場合の就業規則は、「休職期間満了時に復職できないときは、自然退職とする。」というものが一般的であろうか。(この例は「ホワイト企業の就業規則(令和2年8月)152頁」)
ここで、自然退職という文言がやや「不自然」な感じがして、ネットでみたら、当然退職という文言を使っている例も見られた。上の例で置き換えると、「休職期間満了時に復職できないときは、当然退職とする。」となる。
自然退職と当然退職とで、どう違うのか。
自然退職については、次のような説明がある。
「自然退職は、従業員が無断欠勤を繰り返して音信不通になっている場合や、休職期間終了時に休職事由が解消していない場合などに、自動的にその従業員との労働契約を終了し、退職扱いとする制度」(*1)
「自然退職とは、労働者や会社の意思表示なく自動的に労働契約が終了すること」(*2)
一方、当然退職については、普通に検索していてはあまり成果がなかったので、AIに聞いてみたところ、次のようであった。
「法律の規定により、一定の事由が生じた場合に雇用関係が自動的に終了すること。」(Claud3)
「当然退職とは、労働契約が労働者の死亡や資格の喪失など、法律上または社会通念上、労働契約が継続不可能となった場合に自動的に終了すること。」(ChatGPT)
これらをみて、あまり拘っても、と思われてきたが、どちらかというと、「当然退職」の方が意味がより明確ではないだろうか。
なお、厚労省のモデル就業規則を見ると、「・・・休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。」(*3の15頁)となっていて、単に「退職」である。
ところで、こうした場合には、単に「退職」のみとするのではなく、個別具体の事情に応じて、復職支援措置(休職期間の延長、リハビリ勤務など)も考えられるし、あった方が良い条項である。
なお、復職が可能となった場合は、主治医の診断書(治癒証明)提出に加えて、会社指定医の受診規定があると良い。
また、「治癒」については、片山組事件で知られる「債務の本旨に従った労務の提供」を踏まえ、治癒とは従前の業務を従前のとおりに遂行できるまでに回復していることとして、治癒とは「・・・をいう」などの文言を付加しておくことも必要かと思われる。
さて、先日の昼食は、初めて入ったカフェひなたにて、季節限定のカレーとした。なかなか美味しかった。
*1 https://tokyo-startup-law.or.jp/magazine/category04/natural-retirement/
*2 https://www.matsuzawa-roumu.jp/news/detail/197
*3 https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
Posted by 青山拓水 at 21:21│Comments(0)
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