2020年03月15日

休業手当整理1(「休業」とは)

 懇意にしてもらっている個人事業主の方から、コロナで休業続きと聞き驚いた。無利子融資も今後殺到するだろうからと、既に申し込み、明日は保健所に対策を聞きに行くということだった。食品関係なので、影響甚大である。
 融資関係を調べると、色々と対策が講じられていることが分かった。(例えば、https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20200313/k10012328731000.html)
 地元の商工会議所から送られてきたチラシには、緊急相談会、無利子融資、つなぎ資金、信用保証料補助金、利子補給金、雇用調整助成金の特例、小学校休業等対応助成金・保護者支援等が掲載されていて、様々な対策が載っている。

 個人事業主だと有給休暇とか休業手当など労働者対象の保護制度はなく、厚生年金や健康保険のように費用を企業が半額負担する社会保険もない。誠に厳しい。自由な反面、それを守るのも自分。自由を取るか、安定を取るか、長所と短所は裏表である。

 ここでは、巷間話題になっている休業手当について、整理してみようと思う。

 まずは条文を見る。
 労基法26条 (休業手当) 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 これに関する通達を見る。
 手元の解説書に載っている昭和27.8.7基収3445号には・・・「休業」とは、労働者が労働契約に従って、労働の意思を持っているにもかかわらず、労働を成し得なくなることであり、・・・特定の労働者に対し、その意思に反して就労を拒否するような場合も含まれる・・・となっている。

 平成22年版厚生労働省労働基準局編「労働基準法 上」を見ると、「休業」とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいう。・・・特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否するような場合も含まれる」とある。(375ページ)

 両者とも概ね同一の内容である。

 休業と失業とは別のものだが、雇用保険法4条3項を見ると、「・・・「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。」となっている。
 ここにある「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず」は、先の通達の「労働契約に従って、労働の意思を持っているにもかかわらず」、平成22年版「労働基準法 上」の「労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず」と類似している。

 片山組事件(最一小判平10.4.9)に類似の表現があったのでは、と見てみると、「労務の提供は可能であり、かつ、その提供を申し出ていた」「債務の本旨に従った労務の提供」といった字句があった。前後の文脈を無視して字句だけ拾っても的外れなのだが、参考にはなる。
 他にも探せば多々あるだろう。

 以上いろいろ参照してきたが、労基法26条の休業とは、「労務の提供ができる状態にありその意思もある、にもかかわらず使用者の責に帰すべき事由により就労ができない状態」にあることだと解される。  


Posted by 青山拓水 at 15:56Comments(0)労働基準