2020年04月04日
詐欺被害と投資経験
先日の「ガイアの夜明け」で高齢者詐欺被害をやっていた。
紹介されたホテル投資の一例に、投資経験ゼロの危険性を強く感じた。ある程度の投資経験があればいろいろなリスクを感じたのではなかろうか。ことにこのケースは金銭消費貸借契約なので、貸倒リスクがついてまわる。担保はどうなっていたのだろうか。もしも無担保なら無謀ではないか。こうした、金銭貸借における通常のリスクを見過ごしていては、いかにも狼の前の羊のようで、危険極まりない。
年金は偶数月に2ヶ月分が振り込まれる。この方は70歳くらいで15万7千円余り、この他は確か週2回の食堂でのアルバイトと聞いた。余裕がないといえばそうだ。
年金からは、既に所得税、住民税、国民健保、介護保険などが引かれている。この他、固定費として光熱費、家賃または固定資産税などの住居費、通常食費などがかかる。
この時期の高齢者は、資産を守る段階に入っている。増やそうとする年齢ではない。だが昨今の「老後資金2千万円」が一人歩きし、この言葉に眩惑され、なけなしの貯金をホテルに投資、提示の金利は2%程度だったと思うが、現在の銀行預金よりはかなり高い。
とはいえ、日本取引所グループのサイトで見ると、株式の加重平均利回りはここしばらく2%台を維持しているし、株なら株主優待もある。株のリスクは概ね知られているが、ホテル投資は未知数という違いも大きい。また、この程度の利回りなら株式以外にも選択肢がある。
72の法則というのがある。72を年利で割ると、2倍になる年数が出るというものだ。かつて、といっても昭和50年代だったか、8%の時があった。72/8=9、つまり税金を考えなければ9年経てば100万円が200万円になる。2%なら36年である。70歳の人がそんなに待てるか、と思う。無論、倍ではなく1.5倍を目指してもいいのだが、この方は目標額を設定していたのであろうか。そして、そこに到達するのにどれだけ時間が必要か分かっていたのであろうか。あるいは、安定した利払いを期待していたのであれば、不動産投資の一類型であるホテル投資というリスクをどの程度把握していたのであろうか。さらに言えば、現在の生活をベースに先々の収支や金融資産残高推移の見通しを立てていたのであろうか。
印象では、こういう計画性はなく、ただ単に2%という金利に惹かれて金消契約に捺印しお金を渡したに過ぎないようだった。投資経験ゼロの危うさを感じる。そして、それをあてにした投資の勧誘者。恐ろしいことだ。
そもそも、2千万円の貯蓄が必要、というのには大いなる誤解が潜んでいる。流言飛語の類、くだんの報告書を一読すればこんな誤解はしないはずである。
仮に必要額が2千万円としても、それは貯蓄でなくてもいいはずである。30年で計算すれば年間で約67万円、月に約5万6千円、この額を貯蓄から取り崩していくというのは非現実的である。毎年毎年、あるいは毎日毎日、徐々にゼロ円に近づいていくのに耐えられるだろうか。貯蓄はいざという時の安全弁とし、生活費は毎日使って消えていくお金、そういうものは年金や配当、給与などの定時的収入の範囲内でまかなうのが本来である。水道に例えれば、蛇口から出る水を少しずつ残して溜めておき断水に備えておくようなものだ。
公的年金は終身年金であり、食堂のバイトがなくなってもやっていけるように生活費を工夫できるように考えを重ねたのだろうか。リバースモーゲージ、高齢者向け住宅の比較検討など、お金を渡す前に考えることは多々あったはずである。そもそも、貯金は投資などに回さず、大切にとっておくのが鉄則だ。増やすより守りを固めることが先である。
今はコロナで金融商品は軒並みガタガタ。ここで狼狽するかチャンスと見るか、人様々、経験や投資姿勢の差が出ているようだが、これについては長くなりそうなので、ともあれ、この事例で感じた、持論に基づく問題点を挙げてみたい。
(1)高齢期の投資は避けるべき、投資に損はつきもの、やるとしても年齢を考え、損を消化できる範囲とする。
(2)安定成長を目指す。ローリスクローリターンを核とする。
(3)投資先は分散する。同一先に全額などもってのほか。
(4)先々までの収支見通しを立て、これを数字の表だけではなくパッと分かるように折れ線グラフなどに表す。そして随時見直す。
(5)世間に名の通った長命の会社を選ぶ。
(6)先方の勧める商品ではなく、自分で決める。リスク・リターンの仕組みの分かりにくいものには手を出さない。
(7)若い頃から少しずつ経験を積んでおく。投資に対する免疫ができてくる。若い頃からの投資経験の蓄積で(1)〜(6)のいずれも身についてくるはず。
(8)ポンタやdポイントでやっているポイント投資をやってみるのも投資学習になるだろう。・・・まだまだありそうだが、とりあえず、この辺りまで。これらを踏まえてお金を出すべきだ。
ともあれ、まことに心の痛む映像だった。
紹介されたホテル投資の一例に、投資経験ゼロの危険性を強く感じた。ある程度の投資経験があればいろいろなリスクを感じたのではなかろうか。ことにこのケースは金銭消費貸借契約なので、貸倒リスクがついてまわる。担保はどうなっていたのだろうか。もしも無担保なら無謀ではないか。こうした、金銭貸借における通常のリスクを見過ごしていては、いかにも狼の前の羊のようで、危険極まりない。
年金は偶数月に2ヶ月分が振り込まれる。この方は70歳くらいで15万7千円余り、この他は確か週2回の食堂でのアルバイトと聞いた。余裕がないといえばそうだ。
年金からは、既に所得税、住民税、国民健保、介護保険などが引かれている。この他、固定費として光熱費、家賃または固定資産税などの住居費、通常食費などがかかる。
この時期の高齢者は、資産を守る段階に入っている。増やそうとする年齢ではない。だが昨今の「老後資金2千万円」が一人歩きし、この言葉に眩惑され、なけなしの貯金をホテルに投資、提示の金利は2%程度だったと思うが、現在の銀行預金よりはかなり高い。
とはいえ、日本取引所グループのサイトで見ると、株式の加重平均利回りはここしばらく2%台を維持しているし、株なら株主優待もある。株のリスクは概ね知られているが、ホテル投資は未知数という違いも大きい。また、この程度の利回りなら株式以外にも選択肢がある。
72の法則というのがある。72を年利で割ると、2倍になる年数が出るというものだ。かつて、といっても昭和50年代だったか、8%の時があった。72/8=9、つまり税金を考えなければ9年経てば100万円が200万円になる。2%なら36年である。70歳の人がそんなに待てるか、と思う。無論、倍ではなく1.5倍を目指してもいいのだが、この方は目標額を設定していたのであろうか。そして、そこに到達するのにどれだけ時間が必要か分かっていたのであろうか。あるいは、安定した利払いを期待していたのであれば、不動産投資の一類型であるホテル投資というリスクをどの程度把握していたのであろうか。さらに言えば、現在の生活をベースに先々の収支や金融資産残高推移の見通しを立てていたのであろうか。
印象では、こういう計画性はなく、ただ単に2%という金利に惹かれて金消契約に捺印しお金を渡したに過ぎないようだった。投資経験ゼロの危うさを感じる。そして、それをあてにした投資の勧誘者。恐ろしいことだ。
そもそも、2千万円の貯蓄が必要、というのには大いなる誤解が潜んでいる。流言飛語の類、くだんの報告書を一読すればこんな誤解はしないはずである。
仮に必要額が2千万円としても、それは貯蓄でなくてもいいはずである。30年で計算すれば年間で約67万円、月に約5万6千円、この額を貯蓄から取り崩していくというのは非現実的である。毎年毎年、あるいは毎日毎日、徐々にゼロ円に近づいていくのに耐えられるだろうか。貯蓄はいざという時の安全弁とし、生活費は毎日使って消えていくお金、そういうものは年金や配当、給与などの定時的収入の範囲内でまかなうのが本来である。水道に例えれば、蛇口から出る水を少しずつ残して溜めておき断水に備えておくようなものだ。
公的年金は終身年金であり、食堂のバイトがなくなってもやっていけるように生活費を工夫できるように考えを重ねたのだろうか。リバースモーゲージ、高齢者向け住宅の比較検討など、お金を渡す前に考えることは多々あったはずである。そもそも、貯金は投資などに回さず、大切にとっておくのが鉄則だ。増やすより守りを固めることが先である。
今はコロナで金融商品は軒並みガタガタ。ここで狼狽するかチャンスと見るか、人様々、経験や投資姿勢の差が出ているようだが、これについては長くなりそうなので、ともあれ、この事例で感じた、持論に基づく問題点を挙げてみたい。
(1)高齢期の投資は避けるべき、投資に損はつきもの、やるとしても年齢を考え、損を消化できる範囲とする。
(2)安定成長を目指す。ローリスクローリターンを核とする。
(3)投資先は分散する。同一先に全額などもってのほか。
(4)先々までの収支見通しを立て、これを数字の表だけではなくパッと分かるように折れ線グラフなどに表す。そして随時見直す。
(5)世間に名の通った長命の会社を選ぶ。
(6)先方の勧める商品ではなく、自分で決める。リスク・リターンの仕組みの分かりにくいものには手を出さない。
(7)若い頃から少しずつ経験を積んでおく。投資に対する免疫ができてくる。若い頃からの投資経験の蓄積で(1)〜(6)のいずれも身についてくるはず。
(8)ポンタやdポイントでやっているポイント投資をやってみるのも投資学習になるだろう。・・・まだまだありそうだが、とりあえず、この辺りまで。これらを踏まえてお金を出すべきだ。
ともあれ、まことに心の痛む映像だった。
Posted by 青山拓水 at 07:15│Comments(0)
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