2019年03月24日

働くときの公的保険【1】雇用保険<02>

 厚生労働省のサイトに「労働統計要覧」というページがある。「J 社会保障」(*1)というところを見ると、平成27年度なので最新のものではないが、厚生年金保険の適用事業所数は1,970,258ヶ所、被保険者は36,864千人となっている。雇用保険はどうかというと、一般被保険者については、同年度で適用事業所数は2,139千ヶ所、被保険者は40,861千人である。厚生年金保険より雇用保険の方が多い。率にして約1.1倍である。
 厚生年金保険の加入対象者は、政府広報オンライン(*2)によると、所定労働時間が「週30時間以上」又は「週20時間以上かつ月額賃金8.8万円等の一定の要件を満たす」人となっている。雇用保険の加入対象者は、厚労省のサイト(*3)によると、雇用期間が31日以上かつ1週間の所定労働時間が 20 時間以上などとなっている。
 これから見ると、雇用保険の方が加入のハードルが低いことで、加入者が多いと見ることができる。
 雇用保険の代表的な給付である基本手当(失業した場合の手当)を受けた人は、平成27年度で「初回受給者」が1,215,502人、「受給者実人員」が435,563人となっている。先に見た一般被保険者の総数に対し、初回受給者で約3%、実人員で約1%の割合となる。失業のリスクはこのくらいある、という理解もできる。
 「初回受給者」と「受給者実人員」については用語の説明(*4)によると、「初回受給者」は、同一受給期間内における基本手当等の第1回目の支給を受けた者又は雇用継続給付の第1回目の支給を受けた者の数、「受給者実人員」は、同月内に求職者給付(高年齢求職者給付金及び特例一時金を除く。)又は就職促進給付(就業手当のみ)を受けた受給資格者の実数、となっている。年間で複数回失業をすると、1年間に第1回受給者として同じ人が複数回計上されることもあり得るので、2種類の数字が上がっているのであろうか。
 なお、同年度の基本手当の支給総額は624,543百万円となっており、初回受給者数で割ると51万円余となる。
 厚労省のサイト(*3)には、「労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続が必要・・・」「パートタイム労働者も一定の基準に該当すれば、雇用保険の加入手続が必要・・・」とあり、パートやアルバイトでも加入対象となっていることが少なくない。雇用保険法第7条は事業主の被保険者に関する届出義務を定めており、同法第83条は届出をしなかった場合の罰則(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)を定めている。
 雇用保険の給付には基本手当の他にも育児・介護休業給付や教育訓練給付等様々な給付がある。加入できる条件なのに入っていない、ということがないようにしたい。入っているかどうかは給与明細書を見て、雇用保険料が引かれているかどうかでも分かる。不明なことがあれば最寄のハローワークに聞いて、不安を解消するようにしたい。
* (*1)https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_j.html
* (*2)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201607/2.html
* (*3)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
* (*4)https://www.mhlw.go.jp/toukei/dl/yougo.pdf  


Posted by 青山拓水 at 19:50Comments(0)雇用保険