2020年04月18日

貸付金と給付金

 投資信託に元本払戻金というのがある。昔は特別分配金と言われていた。自分の出したお金を受け取るのだから、基準価格(資産価値)が下がっていく。購入時に払った手数料や、毎日毎日払っている信託報酬を考えると、投資額を取り戻すというにとどまらず、損失である。まるで蛸足配当。
 今回のコロナ禍で手続きが進んでいる給付金は収入の少ない世帯に対する30万円から全員に対する10万円になったようだが、財源は国債、すなわち借金である。借金の返済原資は税金、すなわち我々の財布である。投資の損失は自己責任とでも言えるが、どうやら給付金の方は支払原資や支払責任者は誰であるか、という点に言及する声は微かだ。
 2009年の定額給付金について、Wikipediaを見ると、当時首相だった麻生氏はこの4月の記者会見で、この定額給付金について「失敗だったとつくづく反省している」と述べた・・・とあり、確か私も最近、日経か中日かで読んだ記憶がある。
 投資信託の元本払戻金は先に払った投資金の払い戻しだが、国債が財源の給付金は、それを受け取った後に払うことになっているので、順序が逆なだけである。それも利息をつけてである。だから損失という点で同じである。給付金という名目でお金を受け取ってもその額を超えて払う、つまり返済するのだ。自分が借金してお金を受け取るなら貸付金、なのに給付金という。詐欺ではないかと言いたくなる。
 30万円なら4兆円、10万円だと12兆円という。気が遠くなる。これに利息が加わる。
 税金には所得再分配機能があるというが、消費税は逆進。東北大震災の復興費用は復興特別税という増税で賄われている。今回のお金もいずれ増税の話が出てはこないだろうか。
 仕組みの分からないものには手を出すな、というのが投資の鉄則。給付金の仕組みについても、きちんと伝えるのが国会や報道機関の務めではないだろうか。


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Posted by 青山拓水 at 18:39│Comments(0)ひねもす
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